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zoom RSS プッチーニ 歌劇《トゥーランドット》/ リッチャレッリ ドミンゴ カラヤン ウィーンフィル他

<<   作成日時 : 2006/11/13 18:36   >>

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絢爛豪華、しかも緻密微細。
リッチャレッリ、ドミンゴ、ヘンドリックスをはじめとする歌手達も素晴らしい。
でもここでの主役はカラヤンとウィーンフィルでしょう。


カーティア・リッチャレッリ(S:トゥーランドット)
プラシド・ドミンゴ(T:カラフ)
バーバラ・ヘンドリックス(S:リュー)
ルッジェーロ・ライモンディ(Bs:ティムール)
ピエロ・デ・パルマ(T:皇帝)
ゴットフリート・ホーニク(Br:ピン)
ハインツ・ツェドニク(T:パン)
フランシスコ・アライサ(T:ポン)
ジークムント・ニムスゲルン(Br:役人)
ウィーン少年合唱団
ウィーン国立歌劇場合唱団
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)

フィギアスケートの荒川静香選手のおかげで、今年日本で一番話題になったオペラではないでしょうか? 
東洋の“氷の姫”が“氷上の静香嬢”に重なったことによって得られた演出効果(もちろん彼女の実力のあってのことではありましょうが)は、抜群のものだったと言えましょう。これが西洋人による演技であれば、審査員はまた別の感想いだくことになったのに違いありません。

で、私がこのCDを購入するきっかけを作ってくれたのも、今回の《トゥーランドット》ブームのおかげ(ということは、荒川選手のおかげ?)だったと言えそうです。
このアルバム、ずっと“欲しいものリスト(カラヤンでプッチーニといえばハズレはないと思っていたので。)”の中に入り続けていたのですが、なかなか購入に到らなかった。というのは、やはりオペラ1曲に一つは歌詞対日本語訳のついた日本盤が欲しかったからです。《トゥーランドット》は、音だけ聴いても興味深いには違いなく、そういう意味でブラデッリ/ニルソン盤というのは愛聴盤ではありました。大体の筋が分かっている(LDでメトロポリタンの名盤を鑑賞していたため、それで筋と音楽の大体のリンクは出来ていた)ので、そんなに支障にはならなかったのですが、やはり、“文章として感想を書く”、“ブログに載せる”ということになると、あまり、荒い聴き方もどうかと。
しかし、日本盤は(ことにオペラは)安くならない。ということで、このカラヤンの日本盤がバーゲン価格になったら購入しよう・・。と思ってもそんなことは滅多にない。しかし、この《トゥーランドット》ブームのおかげ(だと思うのですが)で、HMV Japanのネットショップで2,936円(税込)の価格になった一瞬を見逃さず、クリック!『やるな俺・・。』とご満悦だったという話はさておき・・。

以前、カラヤンの名演の条件ということについて書いたことがありました。それは、カラヤンが本気になること・・。
今読むとわずか4ヶ月ほど前のことですが、つい厚顔無恥な文章に顔が赤らみます。しかし、こと、この《トゥーランドット》については、私の仮説が嵌ってかどうか定かではありませんが、カラヤンが本気で、しかも“名アルバム”になっていることは間違いないと思います。

第1幕、序曲はありませんが、短い幕開けの音楽、喧騒と恐怖とオリエンタリズムないまぜになったこの部分を聴くだけでも、この曲の底なしのエネルギーの凄さ、そしてこの演奏が凄まじい出来であることを確信させます。そして、群集の声の迫真性。ここではオペラということもあって、ウィーンの国立歌劇場の合唱団(カラヤンの良く使う楽友協会ではなく)が歌っていることが“効を奏している”ようです。
その群集の中から一条の光のように慈しみにも似た歌を聴かせるリューのヘンドリックス。そして、若々しく気高き声のカラフのドミンゴ(カッコ良いんですよ。これが。)と重厚なティムールのライモンディ、いきなり群集から、親子再会のドラマが始まります。メロディの美しいこと。
そしてまた、ペルシャの王子死刑の執行前に猛り狂う刑吏らと群集たち。月夜を讃える静かな歌を経て、今度は、死刑になるペルシャの王子を見て恩赦を求める群衆たちの歌。そして刑の執行・・とめまぐるしい展開を表す音楽。喜劇的な“ピン・ポン・パン”たちの“京劇”風な歌もそれに続きます。
トゥーランドットに一目惚れしてまったカラフの無謀な挑戦(3つの難問に対する謎解き。)を止めようと懇願するリュー=ヘンドリックスの、涙なくしては聴けないアリア。それに対し優しく声をかけながらも決意を曲げないカラフの歌、優しさから力強さまでを歌いあげるここでのドミンゴの歌も最高です。
そして、銅鑼の3つの音から始まる幕切れ。おそろしくカッコ良いんですよ。カラヤンの渾身の指揮姿が見えるようです。
もう第1幕だけで、結構お腹一杯・・。

第2幕第1場、ここは、3人の官吏、ピン・ポン・パンが主役の幕間狂言のようです。第1幕の凄まじい緊張感をオリエンタルな音楽で解きほぐします。そして、彼らも実は、この血なまぐさい世が、トゥーランドットの“愛への目覚め”により終わり、平和な故郷に帰りたいと思っていることが歌われます。伴奏のオケも含め、ここはなかなか美しいです。
私は、ピン・ポン・パンは“悪い”官吏たちだと、何となく勘違いしていたのですが、彼らもいわば、平和を望む人間たちだったというのが分かり安心しました。
最後には、官吏という自分の身をのろいながらも過酷な現実戻って行きます。

第2幕第2場、宮殿の中の絢爛な様子は音楽だけでも充分伝わってきます。そして皇帝が現れる。彼もまた、謎を解けなかったものを死刑にするという掟を呪い、それ(謎を解き、トゥーラドットの愛を得ること)に挑戦するというカラフを止めようと説得します。この人も善人だったわけです。そういう意味でこのオペラに悪人は出てこないのですよね。トゥーランドット姫自身さえ、昔、異国の者に陵辱を受けたロウ・リン姫の記憶を持って氷のように心を閉ざしていただけなのです。
そして、かのトゥーランドット、初めてここでその声を聞かせます。
通常、ニルソンのように強力な“ワーグナー歌い”などによって演じられることの多いこの役ですが、ここでは通常リリカルな役を歌うことの多いリッチャレッリによって歌われます。これは舞台でないから可能だったのかもしれませんが、こうやってCDで聴くと『まさに“氷の心”をもつ気高い姫の歌だあ。』と思わせれる巧みな演技 + 歌です。
そして、ここから一際緊張のトゥーランドットとカラフの“謎解き”をめぐるやりとりが始まるわけです。カラフに応援する人々たち。私達も彼らに紛れ、息を潜めて聴き入るしかありません。一つずつ与えられては解かれる謎3つ。それは謎のモティーフによって表されます。真剣勝負の音楽です。
そして、カラフの勝利とそれを祝う群集の声。
しかし、トゥーランドットはこの謎を解いた異国の若者の愛を拒絶します。掟の神聖さを説く皇帝と群集たち。
しかし、愛を拒絶したトゥーランドットを得ても意味がないと、カラフは「夜明けまでに私の名前を当てなさい。」反対に謎を問いかけます。ここでもカラフが“謎”のモティーフを歌いはじめますが、最後の方は、例の《誰も寝てはならぬ》のメロディが聴こえます。
そして、皇帝の激励と、その皇帝を讃える群集の賛歌によって幕は閉じられます。ここの音楽もオルガンまで動員された絢爛な音楽、ウィーンフィルとカラヤンの実力を思い知らされます。

第3幕第1場、暗い夜を思わせるオケによる短くも幻想的な音楽で幕はあがります。“カラフの名前を探る”ため、北京中に、「誰も寝てはならぬ」という“おふれ”が出されます。カラフの有名なアリアはここで歌われます。流石ドミンゴ、素晴らしい歌声。
次にピン・ポン・パンたちが出てきて、カラフを北京から逃げるように促します。朝までにカラフの名前が分からないと、トゥーランドット大殺戮しかし、それを受け入れないカラフ。
その後、ティムールとリューが捕まり皆の前に差し出されます。リューはトゥーランドットに「彼の名前は“愛”だ。」と説きます。
そして、「氷に包まれたあなたも熱い炎に負かされて、あの方を好きになるでしょう。」と歌い、自害します。この2曲のアリア、ヘンドリックスの歌が可憐で素晴らしいです。伴奏の弦(ピチカートの雄弁なこと。)や管の響きも、言うまでもなく。
カラフとティムールの嘆き(ちなみに、この“リューの死”までがプッチーニの自筆の楽譜が残っている部分とのことのようです。)。そしてリューの犠牲が、ピン・ポン・パンを始め、群集たちの心をも動かします。
カラフは怒りに駆られトゥーランドットを糾弾(この伴奏の金管がカッコ良いんですよ。)します。それでも拒み続けるトゥーランドット。しかし、何か迷いを表すような音楽。カラフはトゥーランドットをかき抱き接吻をする。涙を流し、いにしえの姫の呪いが解けるトゥーランドット?!とろけるような歌を歌うトゥーランドット。
「愛は勝ったのか?」
名前を自らつげるカラフ・・。しかし、夜明けはまだだった。
どんでん返しか、“謎”のモティーフで名前が分かったことを歌うトゥーランドット。混沌の中・・。

第3幕第2場、
皇帝賛歌の壮大な幕明けの後。トゥーランドットは「その人の名前は“愛”です。」と答え、歓喜の群集の歌(これは《誰も寝てはならぬ》のメロディです。)で幕は閉じられます。

お話としては、たわいないといえばそうですが、これが、ハッピーエンドに終わること。しかもプッチーニの遺作(最後は未完のものをアルファーノという人が補筆完成させたのです。)であること。
リューによる“愛の犠牲”によって、“愛”を拒んでいた氷の姫の心を溶かす・・、つまり「最後は“愛”が勝つ。」というのが、プッチーニが最後に言いたかったことなのだと思うと、“なるほど”ですね。
最後は未完であるので、音楽的にはもっと凄い大団円が用意され得たのかもしれませんが、カラヤンの説得力のある設計で、充分以上の感動を与えられるアルバムになっています。録音もデジタル時代になってからのそれですから、充分現役以上といえるでしょう。推薦☆。



プッチーニ 歌劇《トゥーランドット》/ リッチャレッリ ドミンゴ カラヤン@HMV

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