一年365枚 2017

アクセスカウンタ

zoom RSS ショスタコーヴィチ 交響曲第10番 / カラヤン ベルリンフィル(1981年録音)

<<   作成日時 : 2006/11/26 21:22   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 2 / コメント 6

ここでも、本気のカラヤン&ベルリンフィルが聴けます。
もし、この曲お聴きになったことがなくて、しかも全曲が長すぎて取っ掛かりが悪いと思う方は、第2楽章から聴いてみてください。大装備の軍隊の急襲のような迫力に、心臓が止まりそうな衝撃を受けると思います。

何度か当ブログで、“本気のカラヤンは凄い”論と“カラヤンが本気になる条件についての仮説”を披露させていただいておりますが、今回は“その仮説”の“4番目のパターン(1回か2回しか録音していないもの、そして、数曲作曲されている作曲家の交響曲のなかから交響曲全集ではなく、なぜか単発で録音されるもの→ オネゲルの交響曲、ショスタコの10番、ニールセンの《不滅》、シェーンベルク・ベルク・ヴェーベルンなど、純粋にカラヤンの音楽的興味をそそって、1、2回の録音で本人も満足したのではないかと推察しています。)

カラヤンは、ショスタコーヴィッチの交響曲(ご丁寧に15曲もあるのに)については、この曲以外の録音していません。しかも念を押すように2回録音しているのです。
なぜ、この曲だけ・・?
確かに、この曲、ベルリンフィルの威力を誇示できる“聴かせどころ”もあります。しかし、それなら、5番だって、7番だってよかったのでは(一方、当時のライバル?のバーンスタインは結構多数のショスタコーヴィッチの録音を残してます。)?
5番については、ムラヴィンスキー&レニングラードフィルの演奏を超える自信がなかった・・なんてことも、一説には言われているようですが、ここは、カラヤンがこの10番の交響曲だけを自分自身が演奏するに足る“傑作”だと認めた、積極的にこれだけを選んだということとみるべきでしょう。
確かに、この曲(カラヤンの演奏だからこそではありますが)、ショスタコーヴィッチ特有の晦渋さ、自己卑下のような諧謔味さは少なく、しかもわざとらしい派手さもそんなに多くはない、交響曲として本当に傑作だと思います。

さて、この交響曲、吉松隆が、同じ作曲家として、独自の視点で“ファウスト交響曲(言うまでもなくリスト作曲のそれとの類似性)”論を展開しています。
(彼は、自身の交響曲第5番も“モン・ファウスト”交響曲だと言っております。)
ここら辺りになってくると、やはり作曲家の感性による解析と、一般聴衆たる私(私?は一般以上なのか未満なのかはさておき)聴き方との間には、まだまだ、埋めきれないものがあると思わずにはおられません。

吉松のその説にご興味のある方はこちらへ↓
-------------------------------------------------------------
吉松のホームページの記事は直接リンクがはれないような設定になっているようなので、
http://homepage3.nifty.com/t-yoshimatsu/ 左端の索引欄で『図書館』をクリック。その『図書館』のページの左端(本当の左端はもとの索引欄が残っているので、その隣)の『論文集』の中にショスタコーヴィッチの『交響曲10番の暗号』という箇所があるのでクリックしてください。
-------------------------------------------------------------

私は、純音楽(なんかこの言葉も“純文学”という言葉と同様、現代では、あまり意味をなさなくなっているのかもしれませんが)として、この傑作交響曲を、水をも漏らさぬベルリンフィルのアンサンブル能力とそのダイナミックレンジの大きさ(ピアニシモでも美しい音、際限のないフォルテシモのパワー)を十二分に引き出した、カラヤンの構築性のすぐる解釈でのこの録音を、楽しむ(決して単純に“楽しい”音楽でなないんですが。)までです。

第1楽章 シリアスで大規模なモデラートによる、大交響曲の第1楽章に相応しい柄の大きな音楽。そして、非の打ちどころのない求心力のある演奏。

第2楽章 スターリンの圧政を表したという攻撃的なスケルツォ。吉松は悪魔的(メフィスト)と解釈しています。当時のベルリンフィルの圧倒的なアンサンブル能力、カラヤンの統率能力に下を巻くほかありません。

第3楽章 すこしシニカルな、圧政化で無理やり楽しい踊りを踊らせられる舞踏会のような音楽。
トランペットの寂しくも浮遊感のあるソロが印象的(そのテーマは随所で回想されます。)。

第4楽章 前半は、圧政下での市民達のひそひそ話のように寂しげで陰鬱な音楽。
それが、後半妙に明るい音楽に転換するところに、ベートーヴェン的な勝利の快感も、反対に悲劇的なカタストロフはありません。
道化的、自虐的なショスタコーヴィッチの人柄を垣間見る・・といったところでしょうか?
カラヤンの演奏に、このフィナーレの“解”はないかもしれませんが、“謎が謎のまま残されている”というのが、この交響曲の場合“正解なのか”とも思います。

ちなみに、録音のことを書けるほどの耳も、システムもないのに書いちゃいますが、ちょっと乾いたような感じのデジタル初期の録音が、この辛口の音楽にとても似合っているというのも、このアルバムが名盤たる要因だとも思います。
“The Originals”の方が値段的にも在庫的にも手に入りやすくなっているようですが、もしかしたらリマスターでその音の按配が変わってきちゃっていたら残念です(確認はしていません。)。
安易にこの“乾いた音”をイジっていないことを祈ります。

ショスタコーヴィッチ 交響曲第10番 / カラヤン ベルリンフィル(1981年録音 日本盤)@HMV

ショスタコーヴィッチ 交響曲第10番 / カラヤン ベルリンフィル(The Originals 輸入盤)@HMV

人気blogランキングへ
にほんブログ村 クラシックブログ
音楽ブログランキングへ

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(2件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
ロジェストヴェンスキー/ショスタコーヴィチ交響曲第10番ホ短調作品93
Shostakovich: Symphonies Nos. 10 & 11Anatoli Safiulin、 他 (1999/02/05)Melodiya この商品の詳細を見る ...続きを見る
Museum::Shushi bis
2006/11/27 22:25
ショスタコーヴィッチ:交響曲第10番
Youtubeで同じ曲の違う録音を探してBGMにしながらデータベースをいじっています。 掲題の曲を聴いていたら,素晴らしい録音に出会って, 気になって詳細情報を見てみたら・・・「神様」の録音でした。 &nbsp; 改めて述べるまでもないですが,「神様」と書いていますが・・・天邪鬼な筆者としては・・・・・・・・・・。 &nbsp; 神様がショスタコーヴィッチを録音しているとは思いもよらず,気になってウェブを検索したところ, この第10番だけは2回も録音し,... ...続きを見る
ようこそ!「へいやーラボ」へ。
2010/04/03 17:27

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。
この演奏を聴くと、カラヤンにはもっとタコを振って欲しかったと思いますね。特に8番とか。
タコ10の愛聴盤はやはりムラヴィンスキーとザンデルリンクのライブが大好きです。意外とザンデルリンクのショスタコはいいですよ。
dokuoh
2006/11/26 23:06
この曲、僕も大好きです。僕もちょっと自分のブログで書いてみようと思います。あとでトラックバックさせてください。
Shushi
2006/11/27 18:18
dokuohさん、こんばんは。
カラヤンの8番とかは聴きたかったですねえ。
ザンデルリンク(東のベルリンのものでしたよね。)も大好きです。ただ、ことこの10番において、アンサンブルの精度で当時のベルリンフィルやレニングラードには及ばないですね。
15番などはザンデルリンクで書いてみたいと思ってますが。


garjyu
2006/11/27 22:11
Shushiさんもショスタコファンでしたか。
TBお待ちしてます。
garjyu
2006/11/27 22:12
カラヤンのショスタコの10番はそんなにすごいですか!
聴きたくなりました。
その前にあまりこの曲聴いていないかも。。。というわけで手持ちのバルシャイとザンデルリンクのディスクを明日聴くとします。
ピースうさぎ
2006/11/27 22:15
ピースうさぎさん、こんばんは。
>カラヤンのショスタコの10番はそんなにすごいですか!

凄いです。この演奏がなかったら、この曲好きにならなかったかもしれません。
とりあえず、第2楽章で聴き比べしてみてください。(そういえば、わたしもバルシャイとザンデルリンクもっているなあ。)

garjyu
garjyu
2006/11/27 22:20

コメントする help

ニックネーム
本 文
ショスタコーヴィチ 交響曲第10番 / カラヤン ベルリンフィル(1981年録音) 一年365枚 2017/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる