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zoom RSS 痛切極まりないマタイ新解釈。 ファブリツィオ・カソル 『ピティエ(憐れみ)』

<<   作成日時 : 2010/05/13 18:25   >>

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『マタイ』のメッセージ性を現代に再現する問題作か?!

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ファブリツィオ・カソル:『ピティエ』
J.S.バッハの『マタイ受難曲』による再構成
〜アラン・プラテル・バレエ団 のための〜

セルジュ・カクジ(カウンターテナー)
ローラ・クレイコーム、メリッサ・ギヴンズ(ソプラノ)
クリスティーナ・ザヴァローニ、モニカ=ブレット・クラウター(メゾ・ソプラノ)
マジック・マリック(声)

アカ・ムーン
 ファブリツィオ・カソル(アルト・サックス)
 ステファン・ガロン(ドラム)
 ミシェル・ハツィジョルジュ(フェンダー・ベース)

マジック・マリック(パールフルート) 
エレール・ベソン、サンヌ・ファン・ヘク(トランペット)
アレクサンドル・カヴァリエール、チャ・リンベルガー(ヴァイオリン)
フィリップ・テュリオ(アコーディオン)
ロード・フェルカンブト(チェロ)

Noraさんが、かなり以前に紹介されていた↓のを読んで気になっていたCDです。
http://nora-p.at.webry.info/200909/article_3.html

ただ、輸入盤なのに価格が国内盤新譜並で(そのかわり解説の日本語訳が付いてきましたが。)、ケチな私にはなかなか手が出ませんでした。今回マタイモードになったのを機に、ダウス盤と同時に購入しました。1枚ものなのに、ダウス盤3枚組の値段の約3倍。まあ、中身の濃密さもマタイを 3 x 3倍濃縮したくらいに強烈だったのですけれど。

このアルバムに収録されている音楽はバレエのために用意されたもので、いわばサウンド・トラックです。アラン・プラテル・バレエ団・・有名なのでしょうか?私はそちら方面疎いので知りませんでした。ちなみに、これに日本語解説がついたのは、このアラン・プラテル・バレエ団の来日記念盤として売り出すためだったようです。

“バレエのための音楽”が、バレエをひき立てるためだけのものでなく、それ自体が自立した芸術作品である例は、チャイコフスキーやストラヴィンスキーなど枚挙に暇がないほどですね。この『ピティエ(憐れみ)』も編曲という枠を超え、音楽としての価値や衝撃度という意味では、《春の祭典》などに迫るものかもしれないです。

マタイからの抜粋・編曲ということになると、通常、有名な合唱曲、アリア、コラールを選曲するのが常套だと思います。しかし、ここではそれだけでなく、普通抜粋の際には落とされるレチタティーヴォを旋律の素材として使っていたりします。凝っているというか、志が高いというか、読みが深いというか。

歌手はオペラ系、古楽系、セネガル民俗系の混合。器楽の方は、ピアノレスのジャズ・トリオ、アカムーンを中心にフルート、トランペット、ヴァイオリン、アコーディオン、チェロが加わっています。そして出来上がったサウンドは、ジャズ + ワールド・ミュージック + 現代音楽 という感じでしょうか。
HMV online のレヴューには
「ジャズ=ワールド的クロスオーヴァー」なのか? 「聴きやすい現代音楽」なのか? それとも、21世紀流儀の新機軸バッハ解釈なのか?
などと書かれていました。

何度も書いていますが、とにかく中身は凄いです。
お世辞にも美しいと言えない生々しい歌声、絞り出すような音が痛切な器楽ソロ、秘教の儀式めいた怪しくも濃密な音響空間、聴いていて、楽しいともきれいだとも言えないのに最後まで聴いてしまう吸引力。とてもBGMなどには出来ません。このアルバム、とても気軽に好んでCDトレイにのせられるものではなく、私自身も、今後死ぬまでに何度聴くことがあるか分かりませんが、これを手に入れ聴いた経験というのはとても貴重であったと思います。
見当はずれかもしれませんが、コルトレーンの後期のアルバムを聴いたときの感覚にも似ていたかもしれません。
素材的・音響的には、前に紹介したウー・ドゥ・クーソン 『ランバレナ バッハ・トゥー・アフリカ』→ http://garjyu.at.webry.info/200906/article_4.htmlの中にあったヨハネ受難曲の冒頭合唱曲も想起されました。『ランバレナ』の方が数倍聴き易かったですけれど。

このアルバムの中で、私が一番ほっと出来たのは、ゴスペル調の19トラック目『いかにも!それは喜ぶべきこと』でした。アルバム全体をこの調子でアレンジしてくれたら・・というのは私の世迷いごとです。それでは、このアルバム自体を流れる緊張感(バレエ全体の流れも)や価値も変わってしまいますものね。
と分かったようなことを書きつつ、『ピティエ(憐れみ)』を聴いた直後に、オイゲン・キケロの『ロココ・ジャズ』→http://garjyu.at.webry.info/200602/article_40.htmlに入っている《神よ、あわれみたまえ》のジャズアレンジ版を無性に聴きたくなってしまった(実際にむさぼるように聴き、癒されました。)のを、神は許したもうか?

ファブリツィオ・カソル 『ピティエ(憐れみ)』@HMV



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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
 こんにちは。
 これ、編曲ものなので、少しは気軽に聴けるかな、と思、購入したのですが、garjyuさんがおっしゃってる通りで、原曲よりもさらに重たいくらいでした。
 実際のバレエの舞台も、ちょっとすごそうですね。

> オイゲン・キケロの『ロココ・ジャズ』に入っている《神よ、あわれみたまえ》のジャズアレンジ版を無性に聴きたくなってしまった(実際にむさぼるように聴き、癒されました。)

 わたしも、たまにはマタイでも、と思っているので、この前回の記事でgarjyuさんがご推薦なさっている、ダウスのCDを、早速購入してみることにします。
Nora
2010/05/19 12:11
Noraさん、コメントありがとうございます。
Noraさんの書かれていたとおり、厳しい厳しい音楽でした。マタイを最初に聴いたときの衝撃を思い出しました。

ダウス盤、私は聴きやすい好演と感じましたが、“ゆるい”と感じる方も多いかもしれません。聴かれたら、感想お聞かせください。
garjyu
2010/05/19 20:50

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