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zoom RSS 有名曲の異稿を聴く。バッハ カンタータ第21番《わがうちに憂いは満ちぬ》/ 鈴木雅明 BCJ

<<   作成日時 : 2011/07/11 21:05   >>

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名作の、ソプラノ率の高いヴァージョンを聴いてみました。

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カンタータ第21番《わがうちに憂いは満ちぬ》
Ich hatte viel Bekummernis

Prima parte
1 Sinfonia  
2 Chorus“Ich hatte viel Bekummernis”
3 Aria (soprano)“Seufzer, Tranen, Kummer, Not”
4 Recitative (soprano)“Wie hast du dich, mein Gott”
5 Aria (soprano)“Bache von gesalznen Zahren”
6 Chorus“Was betrubst du mich, meine Seele”

Seconda parte
7 Recitative (soprano/bass)“Ach Jesu, meine Ruh”
8 Duetto (soprano/bass)“Komm, mein Jesu”
9 Choral“Sei nun wieder zufrieden”
10 Aria (soprano)“Erfreue dich, Seele”
11 Chorus“Das Lamm, das erwurget ist”

Monika Frimmer, soprano
Peter Kooij, bass

Bach Collegium Japan

Masaaki Suzuki

昨日、三位一体節後第3主日のカンタータは、21番《わがうちに憂いは満ちぬ》 、135番《ああ主よ、あわれなる罪人のわれを》の2曲でした。
このうち、21番《わがうちに憂いは満ちぬ》は、初期の大規模な有名曲。こういう、初期の暗めで重々しい曲(後半は明るいんですけどね。)は、リヒター盤に浸りきっていました。相当聴き込んだこともあり、このブログでも取り上げた気になっていましたが、調べてみるとまだでしたね。
「ではっ。」と、今回聴いてみることにしようと思ったところ、こんなに有名な曲であるにも関わらず(?)、版の問題があることが分かりました。

鈴木雅明著『わが魂の安息、おおバッハよ!』によれば、この曲が作曲されたのは1714年以前。その後、1714年ワイマール、1720年ケーテン、1723年ライプツィヒにて、実際に演奏されたことが、残された当時のパート譜から分かっているらしいのですが、それぞれの演奏の都度、バッハは(おそらくふさわしい歌手がいなかったとか、オルガンのピッチの問題とかで)改変を余儀なくされます。
まず、1714年の原典(?)では、アリア(バスとのデュエットを含め)、レチタティーヴォはソプラノに振られていたようですが、ワイマールの実演では、全てテノールに変えられています。
ケーテンの再演では、テノールからソプラノに戻っていますが、譜面がハ短調からニ短調になっているようです。
ライプツィヒ稿は、現在、一番ポピュラーな稿。譜面はハ短調。3曲目(アリア)はソプラノ、7曲目(レチタティーヴォ)、8曲目(デュエット)はソプラノとバス、4曲目(レチタティーヴォ)、5曲目(アリア)はテノール。
合唱曲も、ソリが入ったり、トロンボーンを使ったりと、華やかな印象になっています。

たまたま持っていたBCJのカンタータ全集(録音進行中?)の6巻には、おそらく1714年原典演奏という趣旨なのか(それともケーテン稿?)、ソプラノ活躍版と、ワイマール演奏版の一部で3曲目、7曲目、8曲目のテノールバージョンも付録でついて来ております。

とりあえず、原典演奏を聴いてみました。ちなみに、バッハ演奏(というかバロック音楽演奏)においてはピッチの問題が付いて回りますが、鈴木雅明は、この曲については、稿に関わらず、カンマートーン(A=415)がふさわしいものと、考えていて、ここでもそれで演奏しています。

1曲目のシンフォニア。夏の最中に演奏されるものですが、雪の降り積もる厳寒の荒地をゆっくり一歩一歩歩んでいくようなこの音楽、バッハが書いた音楽の中でも、もっとも寂しく、厳しいもののひとつだと思います。オーボエ1本が、孤独に打ち震えています。
こういう音楽は、リヒター亡き今、鈴木雅明が一番しっくりと演奏してくれていると思います。

2曲目の合唱曲、これも悲しく厳粛です。BCJの合唱のウェットさが、曲想にマッチしています。

3曲目のアリア。オーボエ1本で語られる冒頭の寂しさ。ソプラノの歌は、ことさら劇的ではありませんが、悲しみ極を感じさせます。

レチタティーヴォを挟んで、さらにアリア。これも悲しみに打ちひしがれる系の名曲です。ただし、少し動き、振幅がやや大きくなり、とくに中間部はテンポもやや速くなっています。BCJの弦、とくに低弦の響きが効いています。

ゆっくり始まって、途中テンポを速めたりしつつ、やや明るく展開する合唱曲で第一部は、堂々と締めくくられます。BCJの合唱はとても充実しています。

第二部になると、様相は一変します。
デュエットのレチタティーヴォは、イエスと女声の愛の交歓といった面持ちの音楽で、ほほえましいです。

次のコラールは、(バッハ以前の)古いスタイルのポリフォニー音楽といった面持ちです。厳粛なのになんとも浮遊感のある不思議な空間を感じさせます。とても複雑なポリフォニーなのに、とても耳に心地よい、奇跡のような音楽ですね。ライプツィヒ稿ではトロンボーンが入るようですが、当然BCJの演奏には入っていません。

天国の花園で歌われるような、無垢で軽やかなアリアでは、チェロとオルガンのオブリガートが花を添えています。

最後は、トランペット、トロンボーンを含んだオケに支えられた堂々と明るい、勝利(?)の合唱曲。
管弦楽組曲チックなのはご愛嬌ですが、音楽はポリフォニックで充実しきっています。

本バージョン、ソプラノの歌ばかりなので、ライプツィヒ稿を知っていると、やや単調な印象を持ちかねませんが、これだけ聴いていれば、全然違和感はありません。
Monika Frimmerさんは、少年のような無垢な歌を歌う人のようですね。悲劇的な音楽の掘り下げがもう少し欲しいと思うところもなくはないのですが、節度のある音楽づくりは、悪くないですね。10曲目の明るいアリアは、とても嵌っていました。


Bach:Cantatas 6/ Bach Collegium Japan, Masaaki Suzuki@HMV



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