シューマン 交響曲第3番《ライン》/ チェリビダッケ ミュンヘンフィル

まさに黄金を秘めたる大河を表すがごとき恰幅の良さと緻密さを備えたる大名演とでも申しましょうか。

シューマンの管弦楽曲の演奏の際に良く言われるのは『シューマンのオーケストレーションは下手くそである。』であり、ゆえに、『ある程度手を加えて演奏すべし(しても良い。)』ということ。いやあ、耳の悪い私には、シューマンのどこのどの部分のオーケストレーションが悪くて、どの指揮者がどこをどう弄っているのかというのは良く分かりません。チェリビダッケも独自に譜面の研究を怠らない人なので、何かやっているんではないかと思うのですが、そのあたり、詳しい方ご教示いただけますれば、ありがたいです。

第1楽章 まさに、ヴァイオリン、管、打楽器、低音弦楽器の一人一人までに目の行き届いた、しかもスケールの大きな音楽が展開されます。この第1楽章では。『いやあ、ラインって良い曲だなあ。』と大抵の演奏でそう思えますが、この演奏は細かく何度も聴けば、聴くほど好きになっていく良い演奏です。テンポもやや遅めで快適、弦も燻し銀で良い味。あといわゆる分解能がすぐれているというのでしょうか、それぞれのパートが良く聴こえます。(あ、気がついたら3回目聴いてる・・。)

第2楽章 のどかなゆったりとした平坦な川のながれでしょうか。田園交響曲といった趣です。弦が弓を一杯弾いているのがみえるようです(チェリの遅いテンポの秘密、garjyuの仮説1、弦が弓を一杯一杯つかって伸びやかな演奏が出来る。)。
木管もうもれそうなんてことは全然ありません。聴こえるべき音は良く聴こえ、ポリフォニックな音楽も良く聴かせてくれます。

第3楽章 じっくりと思索的(というかのどか)な音楽がつむぎ出されます。寝てしまいそうな音楽のはずですが、魔法のように面白くきけてしまいました。

第4楽章 悲劇的な冒頭。ホルンの嘆きの節。弦のピチカートの隅々にまで目が行き届いている演奏です。すべてがクリア。この透明がゆえの哀しさ、儚さは倍化します。
この曲、こんなに深刻で聴き応えのある曲でしたでしょうか。少なくとも私がもっている、どのラインよりも、深い深いラインの水底の暗さ、深さをしかも透明度高く見せてくれます。これは生で聴いたら泣いてしまうかもしれません。
6分からのファンファーレも明るさより渋みで聴かせます。

第5楽章 あわてずさわがず、スケールの大きいままの最終楽章、弦とホルンとのやりとりなど、なかなかに面白いと思いました。『これが重ねすぎのオーケストレーション? だとすると演奏が悪いだけでないの?』。すいません。音痴はだまっておきます。
第2楽章のテーマなどが現れて展開していくところも分かりやすい解説の名講義を聴いているようなチェリの指揮です。終わりに向かって密度の高まっていくオーケストレーションなども、チェリの良い耳でうまく整理されてます。

なんか冷静なレビューのようになってしまいましたが、これは凄い演奏なんですよ。私の中ではベスト《ライン》です。ついででもないんですが、併録の第4番の交響曲も気合の入った(チェリのうなり声は有名ですが、ライン以上に気張ってます。)大名演。私の中では、フルトヴェングラーの演奏と双璧、録音を入れれば、もしろんチェリが良いに決まってます。
今まで、シューマンの交響曲で満足した演奏を聴いたことのなかった人、両曲とも必聴です。

EMI 7243 5 56525 2 2

人気blogランキングへ
音楽ブログランキングへ
にほんブログ村 クラシックブログ

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック