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zoom RSS モーツアルト 歌劇《ドン・ジョヴァンニ》 / カラヤン ベルリンフィル 他

<<   作成日時 : 2006/05/05 04:46   >>

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勝手に**の日

(「勝手にモーツアルトの日」週間 5日目)
オペラでの“巧みの人”としてのモーツアルトに触れたいときに。
また、次の時代への架け橋となった偉大なオペラに敬意を表して。


ドン・ジョヴァンニ  : サミュエル・レイミー
騎士長        : パータ・プルチュラーゼ
ドンナ・アンナ    : アンナ・トモワ=シントウ
ドン・オッターヴィオ : エスタ・ヴィンベルイ
ドンナ・エルヴィーラ : アグネス・バルツァ
レポレロ       : フェルッチョ・フルラネット
マゼット       : アレクサンダー・マルタ
ツェルリーナ     : キャスリーン・バトル

無謀にも《ドン・ジョヴァンニ》行きます。
しかも、私のいつもの、何枚かもっているうちの“私的ベスト盤”というものではなく、CDではこの一組しかもっていないこと、先に白状しておきます。実はLDも持っているのですが、ほとんど、キャストが同じで、オケと合唱がウィーン国立歌劇場(つまりウィーンフィル)のザルツブルク音楽祭での公演の録画です。
でも、このアルバム、決定盤と言ってよいですよね・・?
それぞれの歌手、当然立派な歌唱ですが、歌手中心のオペラ作りとは違う、やはり“カラヤン流”です。歌手も、オケも皆、カラヤンの手のひらの上。しかし、ここでのカラヤンが本気なんですよ、レコーディングなのに。
何せ、正式のものとしては《ドン・ジョヴァンニ》の録音、カラヤン晩年といっても良い1985年のこの1回しかない。何度か実演ではやっているにもかかわらずです。
しかも、“あえて”ベルリンフィルをオペラのオケとして起用しているのです。当時のコンサート・マスターであったシュピーラーによれば、彼は、このアルバムの録音の前には、《ドン・ジョヴァンニ》を演奏したことがないといっていたそうです。そりゃそうです。オペラが本職のウィーンフィル(ウィーン国立歌劇場管弦楽団)とは違うのです。ウィーンフィルとであれば、カラヤンは楽も出来ましょうが、彼の思い通りにならない“歴史の重み”があります。彼はやはり、晩年になって、徹底的に自分の思いのたけを込めた《ドン・ジョヴァンニ》を残したかったのに違いありません。
もう一つ、やはり、このオペラでは、オケの馬力が欲しかったのではないかと思うのです。それは、もう、序曲を聴いたら、『さすが、ベルリンフィル』としか言いようがないからです。

どんどん話は長くなりますね。
曲についての話に移りましょう。

《フィガロ》もそうですが、幕の少なさもあって、このオペラには無駄や隙がないように思えます。
実は、私、不遜にも、『モーツアルトのオペラなんて、古典だし、音楽は良いけど、劇としてみたら、長すぎるし、飽きちゃうかなあ。』なんて、つい最近まで思っていたのでした。
オペラとして、舞台で見るなら、垢抜けたプッチーニか、反対に重厚なワーグナーか・・なんて思ってました。《フィガロ》、《ドン・ジョヴァンニ》、《コシファン》、《魔笛》・・みんなLDやCDで持っていますとも。でもまともに最初から最後までちゃんと聴いたためしなかった(プッチーニのオペラなんかは結構見たり聴いたりしてたんですけれど。)。
じつは、『勝手に**の日』で、miwaplanさんと、モーツアルトの日を決めたときに、『いっちょ、オペラも入れないとな。』と軽いのりで聴いたですよ、この《ドン・ジョヴァンニ》・・。そしたら、歌詞カード片手に手に汗握って最後まで聴きいってしまった。

これは、私が言うまでもないことですが、実に緊張感に満ちたオペラです。緊張の後に弛緩する部分もあるのですが、それも、決して、弛緩のための弛緩でなく、次の緊張を呼び起こすための弛緩です。
こんなオペラ、それまでの古典の世界にあったのでしょうか・・。
次のロマン派の時代に、この音楽が評価されたのは(ベートーヴェンが、“不道徳な”劇の内容に文句あったにせよ。)もっともでしょう。

とくに、その緊張感の極は、それぞれの歌手達のアリアにはなく、重唱にあります(《フィガロ》でも重唱がとても凝っていて素晴らしいですよね。)。がゆえに、歌手それぞれの個性もそうですが、チームを束ねる監督(=指揮者であるカラヤン)がダメだと、ダメになってしまうオペラなのかもしれません。

以下、モーツアルトファンの方には、不要な、あらすじだとは思いますが、話を追って、コメントしていきたいので、文中に番号をふらせていただきます。
堀内修氏の『モーツアルトオペラのすべて』からの引用です。(さすが、オペラを語らせると右に出るもののない堀内氏が纏めたあらすじだけあって、あらすじといいつつも、うまい具合に聴き所はもれなく入っていること、番号ふりながら、思いました。また、細かいことですが、彼の表記では“レポレッロ”になっていましたが、ライナーとの統一表記上、レポレロにさせていただきました。)

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第一幕

騎士長の館の庭。見張りをしているレポレロのところへ館の中から、主人ドン・ジョヴァンニが女に終われて逃げ出してきた。この放蕩者の貴族は、騎士長の娘ドンナ・アンナを狙い、婚約者ドン・オッターヴィオのふりをして、館に忍び込んでいたのだ。逃げる男の顔を見てやろうと、アンナが追いすがる。そこに騎士長が出てきた。ドン・ジョヴァンニと騎士長との闘いになる。アンナが助けを呼びに行っている間に、ドン・ジョバンニは騎士長を殺害し、従者レポレロを連れ、逃亡してしまった(@)。家人を連れて出てきたアンナは、父の亡骸を発見して悲嘆に暮れる。アンナは婚約者オッターヴィオに、父の復讐をするという誓いを求めた(A)。
一方ドン・ジョヴァンニ主従は、逃げて街道に出た。懲りないドン・ジョヴァンニは、通りがかった女に声をかけるが、これはドンナ・エルヴィーラで、前に捨てた女だった。さっさと退散したほうがいい(B)。レポレッロがエルヴィーラに、主人の放蕩ぶりを語って聞かせる(C)。
次にドン・ジョバンニ主従が出喰わしたのは、村人たちの集まる結婚の祝いだった(D)。さっそく花嫁ツェルリーナに目をつけたドン・ジョヴァンニが口説き始める(E)。花婿マゼットは体よく追い払われてしまった。だが邪魔が入る。エルヴィーラがツェルリーナを助けた。不運を嘆くドン・ジョヴァンニの前に、アンナとオッターヴィオがやってきた。仇と知らず、手助けを頼んだ。そこへまたエルヴィーラが現れ、この男はしんようできないと告げる。逃げ出す時の声で、アンナはドン・ジョヴァンニこそ、父を殺した犯人だと気づいた(F)。
怒るマゼットを、ツェルリーナはなんとかなだめた(G)。だが再びドン・ジョヴァンニの手が伸びる。ツェルリーナたち村人を、自分の館での舞踏会に招いた。
村人だけでなく、仮面の男女もやってきた。アンナ、エルヴィーラ、オッターヴィオの三人だ。その舞踏会でツェルリーナを誘惑しようとしたドン・ジョバンニは、皆に見つかり、逃げ出すはめになる。(
H)

第二幕

エルヴィーラの宿の前で、ドン・ジョバンニがレポレロと衣装を交換している(I)。夕暮れにまぎれ、従者のふりをして、エルヴィーラの侍女を誘惑しようというのだ。あきらめきれないエルヴィーラをだまし、レポレッロに連れ出させると、窓の下からセレナードを歌いかける(J)。だがそこへマゼットと村人たちが、手に手に武器を持ち、ドン・ジョバンニを求めてやってきた。レポレロの服を着たドン・ジョバンニは、巧みにかわすと、マゼット殴り倒して逃亡した。ひどい目にあったマゼットを、ツェルリーナがやさしく慰める(K)。
一方レポレロは、アンナの館の庭に迷い込んでしまい、そこで正体がばれてしまう。エルヴィーラは相手が従者だと知って怒り、男たちも怒る。レポレロはひたすら謝り、ほうほうの体で逃げ出した(L)。
月夜の墓地で、主従が再会する。元の姿に戻り、不運を嘆いているところに、不気味な声がした。なんとその声は死んだ騎士長の石像のものだった。恐れることなく、ドン・ジョヴァンニが石像を晩餐に招待すると、石像はうなずき、「よし」と招待を受ける。
アンナの館では、早く結婚したがっているオッターヴィオをアンナがなだめている。
ドン・ジョバンニの館では、晩餐の準備が進んでいた。エルヴィーラがやってきて改心するよう求めるが、ドン・ジョヴァンニは聞く耳を持たない(M)。そして不気味な響きとともに、騎士長の石像がやってきた。レポレロは脅えるが、ドン・ジョヴァンニは、恐れず、石像に改心を迫られても、敢然とこれを拒否する。もう救われない。石像は手をとって、ドン・ジョヴァンニを地獄へと連れて行った。炎が見え、悲鳴が聞こえる(N)。
悪人は地獄に落ちた。アンナとオッターヴィオ、ツェルリーナとマゼット、エルヴィーラにレポレロ、一同はそれぞれの道をゆくことになる(O)。
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・まず、序曲。これこそ、ロマン派の扉を開けるがごとき、絶叫の出だし。そして、この悲劇とも喜劇ともつかない、このオペラの幕開けにふさわしい、明るさとスピード感のある音楽へのスイッチの切り替えの見事さ・・。演奏は、『さすが、本気のカラヤンとベルリン・フィル』いうことなしです。
(ちなみに、この序曲は、プラハ初演の前日に、モーツアルト、一晩で書き上げたらしいです・・。)

・序曲から、@までの緊迫感の持続、もうここまでで、すごい音楽を聴いた・・という感じです。とくに、騎士長とドン・ジョヴァンニとの剣戟から、レポレロの独白を交えた三重唱までの見事な展開。

・A厳かな音楽の中に、ドンナ・アンナの気丈さと、オッターヴィオのちょっと頼りなげさがうまく出ています。アンナ・トモワ=シントウの劇的な歌が良いといえば簡単ですが、このオペラの登場人物の中で、ドン・ジョヴァンニと一番遠くにいるであろうというところの、“浮き”加減を、ある意味良く表している・・と言った方が含蓄ありますかね?

・Bドンナ・エルヴィーラは、ドンナ・アンナと違って、気丈にみせてもドン・ジョヴァンニをあきらめられない。そんな女性らしいアリアから三重唱に入っていくところの見事な展開。

・Cいわゆる、《カタログの歌》。フルラネットのコミカルな歌い方良いですね。拍子もテンポも変わる、結構な難曲だそうですが。

・D楽しげな結婚の祝いの音楽。ああ、バトルのツェルリーナ最高(ちなみに私、バトルの大ファンなのでした。)。

・Eツェルリーナのドン・ジョヴァンニの誘惑に負けていく様を、刻々と、この小曲の中に封じ込めたモーツアルトの素晴らしさ。レイミーの甘い歌、バトルの透き通るような声・・素晴らしい。

・Fここまでの、喜劇的な展開から一気に、悲劇的な音楽。緊張。そして強い女アンナのアリア。その後に続く、オッターヴィオのアリアが優しげです。

・Gすいません。バトルの歌が入るとどうしても、聴き惚れてしまいます。いわゆる、《ぶってよマゼット》。こうして、男はごまかされるのです・・。

・H一幕の終わりに向かって、主要人物たちが入り乱れての重唱、合唱の妙。セリフで一緒にしゃべれば、わけが分からないだけなのに、これが、なんと音楽的なことなのか・・。比喩として的確ではないと思いますが、バッハのカンタータの中のフーガなどに匹敵する凄さですね。
(これは《フィガロ》でも同じでしょうが。)

・I懲りないドン・ジョヴァンニとレポレロの陽気な歌。2人とも劇の人としてうまいですね。

・Jいわゆるドンジョヴァンニのセレナーデ。マンドリンの可愛らしい伴奏にのったレイミーの歌、女性でなくともうっとりしますね。

・K『薬屋の歌』。マゼットでなくとも、バトルの歌、癒されますね。多分、この《ドン・ジョヴァンニ》の中で一番好きなアリアかもしれません。

・Lこれも重唱の妙。また、レポレロ=フルラネットの演技が目に見えるようです。

・Mちょっと、飛びますが、ここから緊張感高まってきます。舞台上の楽団と歌、凄い効果(マーラーが『これぞポリフォニーだ』と言い出しそうですね。)。フィガロの一節が聴こえたりして、中々聴き逃せません。この後、エルヴィーラが入ってくると、急激な展開となります。ドン・ジョヴァンニをどうしても憎みきれないエルヴィーラの声に耳も貸さない。

・Nそして、このオペラを“このオペラ”足らしめている《地獄落ち》の場面です。ここでも重唱(レポレロの独白が通奏低音のよう。)が効いています。最初と最後にしか出ない騎士長=プルチュラーゼの歌も凄みがある。ドン・ジョヴァンニ=レイミーも最後まで屈しないカッコ良さ。(前、この場面を、マイルスの《スケッチズ・オブ・スペイン》の《ソレア》という曲に、重ねあわせてみたような、記事を書いたことがあります。ご興味あればこちらへ。)なんたる、圧倒的で、恐ろしくも素晴らしい音楽。カラヤン、ベルリンフィル、ベルリン・ドイツ・オペラの合唱も熱演です。

・O最後の悪人が死んだ・・というハッピーエンドのような、そうでないような、それぞれの考え入り混じった歌詞。ここの解釈は、色々とあるようですが。


日本では、あまり考えられませんが、海の向こう欧米では、新しい演出、さまざまな解釈のモーツアルトのオペラが、未だ衰えず、日々上演されているようです。うらやましい限りではありますが、まだまだ音楽として、絞っても絞っても絞りきれないほどの旨みのあるこのオペラ、斬新な演出で見る前に、連休中は、この“カラヤンの《ドン・ジョヴァンニ》”堪能しまくろうと思っています。

モーツアルト 歌劇《ドン・ジョヴァンニ》 / カラヤン ベルリンフィル 他 @HMV



(参考図書)
モーツアルトオペラのすべて 堀内修著 平凡社新書

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モーツァルト ドン・ジョヴァンニ K.527
同じこの「勝手にモーツァルト」企画の中で、KiKi が尊敬する garjyu さんがとっても素晴らしいこの曲のエントリーを書いていらっしゃるので、1度は断念しかかったこのオペラに関するエントリー。  でも、「フィガロ」と「魔笛」を聴いて「ドン・ジョヴァンニ」だけ聴かな.. ...続きを見る
落ちこぼれ会計人の Music Diar...
2006/05/06 14:17

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは♪  うわぁ、力作ですねぇ。  実は KiKi も明日は「ドン・ジョヴァンニ」の予定なんですが、こんなに詳細なエントリーを拝見しちゃうとちょっとどうしよう・・・っていう感じ ^^;  でもまあ、もう着々と準備は始めちゃっているので明日記事を書いたら TB させていただきますね♪  因みに KiKi はムーティ - スカラ座管でいこうと思っています。  大作なので聴き比べみたいなことはできそうにないけれど・・・・(笑)。
KiKi
2006/05/05 13:55
こんにちは。実は「ドン・ジョバンニ」と「後宮からの誘拐」だけ持っていないのです。買おう買おうと思っているうちに歳をとってしまいました。これから揃えます。今日はgarjyuさん初めブログでいろいろな方からお教え頂いたCDと本を探しにいってきました。このブログは老後の私の勉強の場です。又、これからも宜しくお願い致します。
my favorite stories
2006/05/05 17:06
KiKiさん、こんにちは。

ちょっと、昨日は、昼間でかけていて、夜も子供と一緒に寝てしまい、コメントもかけませんでした。すいません。

《ドン・ジョヴァンニ》方面行ってしまいました。力作というか、長いのになっちゃって、読まされる方は迷惑ですね・・。

カラヤン、力入ってます。これはCDで聴いているだけで興奮するオペラ録音ですよ。

ムーティも、このオペラには、向いてそう。KiKiさんのレヴューも楽しみにしています。

garjyu
garjyu
2006/05/06 07:04
my favorite storiesさん、コメントありがとうございました。
勉強と言われると、勉強嫌いの私は照れるばかりです。
my favorite storiesさんのブログも読ませていただいております。コメントなかなか出来なくてすいません。モーツアルトへの愛情あふれた記事ですね。協奏曲やディヴェルティメントについては、私もまだ、勉強の余地あるものだと思い知らされました。

garjyu
garjyu
2006/05/06 07:10
こんにちは♪  今ちょっとピアノの練習の休憩時間です。  garjyu さんのブログは TB を送ってから反映されるまでにちょっと時間がかかるのかしら??  えっと今日、公約どおり(?)ドン・ジョヴァンニのエントリーをアップしたので TB させていただきました。  garjyu さんがあまりにも素晴らしいエントリーを書かれたので、KiKi は音楽・・・というよりはストーリーよりの Review にしてみました。
KiKi
2006/05/06 19:57
KiKiさん、

TBありがとうございました。
どうも、ウェブリブログ以外からのTBは一回、スパム扱いになって、保留されてしまうようです。すいません。

garjyu
garjyu
2006/05/07 04:40

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モーツアルト 歌劇《ドン・ジョヴァンニ》 / カラヤン ベルリンフィル 他 一年365枚 2017/BIGLOBEウェブリブログ
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