ディーリアス 《春、かっこうの初音を聞きて》他 / ロイド=ジョーンズ ロイヤル・スコティッシュ管

花鳥風月・・もしくは、四季折々の風情を愛でる日本人にこそ親しまれるべきディーリアスの音楽。待望していた新録音(2002年)でした。


1 奇想行進曲

三つの小音詩
2 夏の夕べ 
3 冬の夜(そりすべり)
4 春の朝

5 アメリカン・ラプソディ
6 楽園への小道(歌劇《村のロミオとジュリエット》より)

小管弦楽のための2つの小品
7 春、かっこうの初音を聞きて
8 川辺の夏の夜

9 夜明け前の歌
10 幻想的な踊り

かつて、“ディーリアン”という言葉が確かにありました。ビーチャムやバルビローリの録音していたディーリアスの管弦楽曲のLPを貪り聴いていた人々のことです。
また、ある人は、「ディーリアスの良さは、はいじめられっ子にしか分からない。」と言っていました。水彩もしくは淡彩画のような淡い世界。単刀直入な話を好む論理的な人、怖いものなしで物事を成し遂げられるような人・・それを世間は立派な人というのなら、多分そういう人々には、このディーリアスの淡い、甘い世界には縁がないのでしょうね。
うじうじした、引っ込み思案だった少年の頃の私(今は、そこそこ中年の図太さもそなわってはきましたが。)、ディーリアスを聴いて、「うん、うん分かる分かる・・。」と、その音楽の中にずっぷりとはまり込んでいました。
(晩年のディーリアスはほとんど視力がなかったようです。実は、若いころ遊びすぎたから・・という話もあるようで、ディーリアス=いじめられっ子では、なかったのかもしれません・・。)

資本主義至上の世の中、“侘び寂び”というものを尊ばなくなってから、日本からディーリアンは姿を消してしまった、もしくは、隅においやられてしまったのかもしれません。
それが証拠に、有名指揮者の新録音はほとんどなく、未だにまとまって曲を聴こうと思うと、ビーチャムかバルビローリのもの(マッケラスも最近といえば最近の録音でしょうかね。)しかない。

1や3などは、やや、彼の音楽としては、輪郭がはっきりしているかもしれません。英国民謡調の音楽でこれは誰にでも親しみやすいかもしれません。

2や4、そして私の最愛の6、7、8などの密やかな音楽に耳を止めて聴いてくれるような人は、私の友人の中にもあまりいなさそうです。この美しくも儚い世界を分かち合える友人が身近にいないのは、寂しいことです。
7のかっこうの初音・・。その後つづく夢のような弦のメロディになるかならなかのような微妙フレーズ。

5もラプソディと言いながら、中間部でちょっと盛り上がる以外、ただただ、風景を愛でているような優しい音楽。「ああ、この引っ込み思案め・・分かるゾ。」

9は、バルビローリの演奏が耳に焼き付いているので、ちょっとテンポが速すぎるかなあと感じますが・・オケの味は悪くないです。

10はちょっと、毛色の変わった、夢のなかの妖精の踊りのような曲です。

どれをとっても演奏会で演奏するには“帯に短し、襷に長し”なのでしょう。生で聴く機会もあまりない。隠れディーリアンの私はNAXOSで、このロイド=ジョーンズ盤とティントナー盤をみつけてどれだけ喜んだことか。
NAXOSは、ロイド=ジョーンズの指揮で、このアルバムの続編をつくるべし(この前にもう1枚録音があることを今回調べていて初めてしりましたが。)・・。というかお願いします、NAXOSさん。

ディーリアス 《春、かっこうの初音を聞きて》他 / ロイド=ジョーンズ @HMV

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この記事へのコメント

2006年06月07日 00:28
このCDは知らないですが、ロイド=ジョーンズのイギリス音楽はハズレがないし、イギリスの田園風景が描かれるディーリアスですから期待できますね。
私はビーチャムの全集で聴いています。
miwaplan
2006年06月07日 00:43
こんにちは。
ディーリアス、20歳代からハマッてました。
もちろんバルビローリとビーチャムで。
外盤LPでは、フェンビーの2枚組みもね。

フェンビーは、晩年のディーリアスに献身的に仕えていた人で、編曲もしているし、それを自分で録音したんですよね。

《楽園への道》は、アンコール用のオケピースとしても、かわいらしくて受けると思うのだけど、どうなんでしょうね、今の世代では。

イルメリン前奏曲なんて、懐かしい曲だなあ。
出版されてる3曲のヴァイオリン・ソナタも聴いた覚えがあるけど、誰のだったかは思い出せない。

彼は若い頃、アメリカのフロリダにも行ってるし、ライプツィヒで音楽を勉強して、ノルウェーではグリーグと会って親交を結んでその影響を受けて、それからはパリに住んでいたんだよね。

それなのに、イギリスの作曲家としてのイメージがあるのが不思議。イギリスで生まれたけど、両親はドイツ人だったし。

うーん、バルビローリのLPを聴きたくなってしまったですね。夜中に、小さめの音で、静かに。
2006年06月07日 00:46
ダンベルドアさん、
miwaplanさん、

尊敬するお二人が、ディーリアス好きだったので、嬉しい限りです。永遠に“ディーリアン”でいたいシャイな中年男です。

garjyu
yokochan
2006年06月08日 01:35
こんばんは。ディーリアスと聞けば、黙ってはいられません。私もその中年の一人です。でもディーリアンはシャイなもので、一人静かにこっそり聴いてます。英国音楽への扉を開いてくれた作曲家でもあります。あんまり人気が出て欲しくない作曲家、と思うのも我がままなディーリアンでしょうか?
2006年06月08日 18:20
yokochanさん、コメントありがとうございます。

>あんまり人気が出て欲しくない作曲家、と思うのも我がままなディーリアンでしょうか?

お気持ちわかります。自分のものだけにしておきたい。でも、ちょっと仲間内だけの話題にしたい・・そんな作曲家ですかね。
2006年08月02日 00:01
garijyuさん、こんばんは。
遅ればせながら、私もディーリアスの数曲を含むイギリス音楽を聴いてみたのでTBさせていただきました。
“ディーリアン”なんて言葉があるなんてびっくりです。すごくツーな方々ですね・・・。
お勧めの(最愛の)5,6,7のあたり、本当にさわやかな曲。あまりにさわやかすぎてうとうとしてしまいました(~_~;)

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